フィルム班/星ゆきみ
−−フィルム班の業務内容を教えてください。
コンビニやスーパーで売っているおにぎりは、フィルムの中に海苔が入っていますよね。あれを作るのがフィルム班の仕事です。機械を通して、フィルムと海苔を一緒にするという作業です。幅が異なるおにぎりのフィルム数種類と、手巻き寿司のフィルムを製造しています。
−−作業は機械が行うわけですが、人の手が必要となる部分はどこでしょう。
機械で出来上がっていくものを、最後は手と目で確認してから出荷するんです。海苔が壊れていないか、穴が空いていないかということを目視で検査します。一つ前の焼きの工程でもチェックが入るんですが、そこで見落としたものが入ってくる可能性もありますし、フィルムの機械を通している時に海苔が壊れる場合もあるんですね。私たちがやっているのは最終工程で、その先は製品としてお客さまに納品するわけですから、人の手と目での最終チェックが欠かせません。
−−どんなことが品質や作業を左右しますか。
どうしても機械の調子に左右されてしまうということはあります。機械の調子が悪いと作業効率も悪いですし、生産量も減ってしまいます。前日までは何の異常もなかったのが、今日になって「あれ?」と思うようなことはたびたびあって。そんなときは、自分でできる範囲であれば機械の整備も行います。機械の不具合は付き物なんですが、そのたびメーカーさんを呼んでいるとどうしても時間が掛かってしまうので、教わったりもしながら社内で迅速に対応します。
−−ほかにはどんなことが作業に影響しますか。
原料の品質ですね。黒い海苔から黄色っぽい海苔まで、等級や産地によって原料は何種類もあります。この製品にはこの原料を使う、というのがお客さまごとに決まっていて、さまざまな原料を機械に通していくことになります。ところが、その原料によってはなかなか製品にしづらいものもあるんです。例えば、丈夫な海苔とボロボロ崩れやすい海苔というのがあるんですが、このボロボロ崩れやすい海苔というのは決して品質が悪いわけではなく、味は非常においしい。
−−そうなんですか?
はい。海苔というのは奥が深いんです。崩れやすくても味は良いわけですから原料としては好まれるんですが、当然崩れやすいので作業効率は悪くなってしまいます。それを一発で解決する方法もありませんから、忍耐強くやるしかないんですね。
−−では、ほかの部分で効率を上げるために意識していることがあれば教えてください。
班の人たちがスムーズに作業できるように海苔を準備しておくことを心掛けています。お客さまからの注文状況に応じて各班の班長がどれくらいの量を製造するかを決めていくわけですが、焼き工程を済ませていないと先に進めませんから、最低限作業が止まらないように海苔を焼いてもらわなくてはいけません。毎日その量を計算して、焼き工程に依頼をしておくということです。
−−あらかじめ先の予定も立ててあるものなのでしょうか。
もちろんです。作業に掛かる日数やその先の注文も見越して用意しておきます。その日その日で対応していると、一日に5種類も6種類もの海苔を扱うケースも出てきますが、それだと先ほどお話ししたような機械類のトラブルを招く原因にもなります。あれこれ原料を変えずに同じものでまとまった量を製造できるように組んだほうが効率はいいですし、機械の不具合を避けることもできる。さらに、働くほうも作業しやすいという一石三鳥なので、段取りをしっかりしておくことは重要なんです。